高度計規正値: Kollsman Window, Altimeter Settings

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ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、高度計規正値(アルティメーター・セッティング)に関する問題です。

 

例題

21. PLT166
If it is necessary to set the altimeter from 29.15 to 29.85, what change occurs?
A) 70-foot increase in density altitude.
B) 70-foot increase in indicated altitude.
C) 700-foot increase in indicated altitude.

 

高度計規正値を29.15から29.85にセットしなおすと、何が変化しますか?という質問です。

 

予備知識

平均海面(MSL, Mean Sea Level):真高度の基準(0ft)となる仮想面。標高は、平均海面からの実際の高さで、xx ft MSL と表示する。

標準大気(Standard Atmospheric Condition):平均海面上において、温度15℃/59°F, 気圧1013.25 hPa/29.92 in Hg

真高度(True Altitude):平均海面からの実際の垂直距離。

指示高度(Indicated Altitude):高度計に、高度計規正値をセットした時、指示される高度。

気圧高度(Pressure Altitude):高度計の規正値を標準値(29.92 inches Hg)に合わせたときに表示される高度。

密度高度(Density Altitude):気圧高度を非標準温度で補正した高度。航空機の性能に影響する。

高度計規正値(Altimeter Settings):飛行場の平均海面上の気圧に相当する数値で、これを高度計にセットすることにより、高度計は、真高度に近い値を指示することが出来る。

高度に対する気圧の変化:1,000ftにつき、約1 inch 低下する。

 

ことわざ

High to Low, Look out BELOW!

高いところから低い所に行くときは、下方に気をつけろ!

 

気圧高度計の仕組み

気圧高度計の内部には、金属製の風船(空盒:アネロイド・ウエハース)が入っていて、風船の中は空気が密封されています。風船の周りは、外気(静圧)が導入されています。

上空に行くに従い、気圧が低下するため、風船は膨らんでいきます。

この風船の、高度上昇に伴うふくらみを、指針に伝えることによって、高度を表示するようになっています。

altimeter
altimeter

ただし、気圧が上下するのは、高度が変化するときばかりではありません。

高気圧の圏内から、低気圧の圏内に飛行するとき、高度計の指示を、たとえば1,000ft一定で飛行すると、実際の高度(真高度)は、どんどん低下していきます。

その理由は、

低気圧に向かって飛行すると、飛行機周辺の気圧が、徐々に低くなります。

気圧高度計は、気圧が下がる→高度を高く表示する。

パイロットは、高度を一定にしようとして、結果的に高度を下げてしまうのです。

 

それが、(気圧が)高い所から低い所に行くときは、下方に注意しろという、先ほどの諺の理由です。

 

また、(温度が)高い所から低い所に行くときも、下方に注意しろという諺が、当てはまります。

 

気圧高度計は、あくまでも気圧のみを感知して作動しているので、温度の変化がそのまま高度計の指示に影響されることはありません。

それではなぜ、温度が高い所から低いところに飛ぶと、高度計が高く指示しようとするのでしょう?

 

考えてみてください。

 

 

問題の解説

高度計規正値は、「現在の場所における平均海面上の気圧」と言うことが出来ます。

もしも、標準大気状態が実際に存在して、平均海面に自分がいるとすると、その時の高度計規正値は、29.92 inches-Hg または 1013.25HPa ということになります。

 

このとき、地面を掘り下げていくと、気圧はどうなると思いますか?

 

高度が高い→気圧が低い ですから、地面を掘り下げると、

高度が低い→気圧が高い となります。

 

ちなみに、平均海面から 1,000ft 掘り下げると、その場所の気圧は、30.92 inches-Hg となります。

 

 

気圧は、高度が1,000ft 上昇するごとに、約 1 inch 低下します。

これは、暗記しておく必要があります。

 

 

ところで、平均海面にいる状態で、高度計規正値を 30.92 inches-Hg にしたら、どうなるでしょう。

 

高度計の指示は、約 1,000ft を指示するはずです。

 

問題では、下の計算の通り、高度計規正値を 0.7 inch 大きくしたので、指示高度は 700 ft 高くなります。

 

29.85-29.15=0.70

0.70x1,000=700 ft

 

残念ながら、気圧高度計で、密度高度は表示することができません。

 

 

 

結論

高度計には、正しい高度計規正値を入れましょう。 飛行中は、最寄りの飛行場のATIS などから新しいデータを更新しましょう。

管制塔などがない飛行場から出発するとき、高度計規正値が得られない場合は、その飛行場の標高を高度計にセットします。(QFE法)

そのとき、高度計のコールスマン・ウインドウに表示される数値は、アルティメーター・セッティングと等しくなります。

 

おわり