フラップの役目:One Purpose of Wing Flaps

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ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、固定翼機の主翼に装備されているフラップに関する問題です。

例題

9.PLT473
What is one purpose of wing flaps?

A) To enable the pilot to make steeper approaches to a landing without increasing the airspeed.
B) To relieve the pilot of maintaining continuous pressure on the controls.
C) To decrease wing area to vary the lift.

 

日本語訳

9. PLT473a PVT
翼のフラップの役割のひとつとして、

A) 対気速度を上昇させることなく急角度の着陸進入を可能にする
B) 操縦装置を保持し続けるための力を軽減する
C) 揚力を変化させるために翼面積を減少させる

 

解答

A) 対気速度を上昇させることなく急角度の着陸進入を可能にする

 

フラップの概要

wing_flaps

フラップは主翼の後縁に装備されていて、翼断面(エアフォイル)のキャンバーを変化させることにより、同一迎え角時の揚力を増加します。同時に誘導抗力も増加します。

着陸進入時にフラップを展開すると、機首を下げて(ピッチ・ダウン)滑走路が良く見える状態でも、対気速度が上昇せず、所定の進入速度を維持することが出来ます。

また、フラップを展開することにより、エアホイルがキャンバーの大きい低速に適した形状となり、失速時の対気速度を低くすることが可能です。

 

フラップの種類

Four Common Types of Wing Flaps
Four Common Types of Wing Flaps

プレーン・フラップは構造が簡単で、後縁部全体を下方向に曲げることにより、キャンバーの湾曲を大きくして揚力を増加させます。同時に誘導抗力(Induced Drag:揚力発生に伴う空気抵抗)が増加するとともに、風圧中心が後方に移動するため、機首下げモーメントが発生します。

スプリット・フラップは、後縁の下面のみを分離(Split)して下方向に動かす構造で、プレーン・フラップに比べて若干揚力を多く発生します。またフラップ展開時に風圧中心の移動が少なく、ピッチの変化が少ない特徴があります。しかし、後縁の直後の空気の流れが乱れるために多くの抵抗が発生します。

スロッテッド・フラップは展開時に主翼とフラップの間に隙間(Slot)が出来る構造で、主翼下面の高圧気流がスロットを通りフラップの上面に沿って流れるため、空気の剥離を遅らせるとともに揚力を増加させる特徴があります。現在の飛行機では最もポピュラーな形式です。

ファウラー・フラップはスロッテッド・フラップの一種で、展開時にフラップが後方にせり出すようになっています。これによりキャンバー形状を変化させるだけでなく、翼弦長(コード)を大きくし主翼の面積を増大させます。展開量が小さいときは抵抗の増加が少ない状態で揚力を増加させ、さらに展開していくに従い、揚力の増加量は減少し、抗力の増加量が増大する特徴があります。ファウラー・フラップは1924年に米国陸軍のHarlan D. Fowlerが発明し、現在は大型の旅客機に採用されています。

 

問題の解説

Aが正解。
Bはトリム・タブの説明。トリム・タブは動翼の後縁部に取り付けられていて、固定式のものと操縦席から操作可能なものがあります。セスナ152にはラダーに固定式のものが、エレベーターに可動式のものが装備されています。エレベーター・トリムは操縦席のホイールを操作することにより、コントロール・プレッシャーを抜いて、操縦を楽にしてくれます。
Cは不正解。フラップは翼断面の形状を変化させて揚力および抗力を増大させます。ファウラー・フラップのように翼面積を大きくするものもあります。

 

まとめ

フラップの種類の項で述べたように、フラップを展開すると風圧中心が後方に移動するため、ピッチダウンのモーメントが発生します。しかし実際にはフラップ展開時のピッチ変化は機体によって異なります。

セスナ152などの高翼機はフラップ展開時に誘導抗力が胴体上部に取り付けられた主翼に作用するために発生する機首上げモーメントや主翼後流の吹きおろし(ダウン・ウォッシュ)が水平尾翼を下に押すため機首上げとなる傾向が顕著です。

またパイパーチェロキーなどの低翼機はフラップ操作時にピッチ変化が少ない、あるいは機首下げ傾向があります。これは前述の風圧中心の後方移動、誘導抗力が胴体下部に取り付けられた主翼に作用することによる機首下げモーメントおよび主翼のダウン・ウォッシュが水平尾翼に作用しないため(特にT尾翼機)です。