最低安全高度:Minimum Safe Altitude


ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、航空法規に関する問題です。

 

例題

155. PLT101 PVT

(Refer to figure 26, area 8.) What minimum altitude is required to fly over the Cedar Hill TV towers in the congested area south of NAS Dallas?

A) 2,555 feet MSL
B) 3,449 feet MSL
C) 3,349 feet MSL

 

日本語訳

155. PLT101b PVT

(図26.エリア8) Dallas海軍航空基地の南側密集区域にある、Cedar Hillテレビ塔上空を飛行する場合の最低高度は

A) 海抜2,555 フィート
B) 海抜3,449 フィート
C) 海抜3,349 フィート

 

解答

B) 海抜3,449 フィート

 

解説

fig.26_area8

fig.26_area8

§119 of Part 91 Over Congested Areas: an altitude of 1,000 feet above the highest obstacle within a horizontal distance of less than 2,000 feet.

連邦航空法パート91セクション119によると、密集地域の上空:水平距離2,000フィート未満にある最も高い障害物の高さから、さらに1,000フィート加えた高度

図26によると、Cedar Hill TV Towerの高さは2,449 ft MSL (1,640 ft AGL)なので、1,000 ft 加えた 3,449ft MSLがこの区域の最低安全高度となります。

 

Minimum Safe Altitude

  1. Anywhere: an altitude allowing a safe emergency landing without undue hazard to person or property on the ground;
  2. Over Congested Areas: an altitude of 1,000 feet above the highest obstacle within a horizontal distance of less than 2,000 feet;
  3. Over Populated Areas: an altitude of 500 feet AGL;
  4. Over Open Water or Sparsely Populated Areas: an altitude allowing for a linear distance greater than 500 feet from any person, vessel, vehicle, or structure;
  5. Helicopters: If without hazard to persons or property on the surface, an altitude lower than in definitions 2, 3, and 4 above, provided in compliance with any routes or altitudes specifically prescribed for helicopters by the FAA.

 

最低安全高度

  1. すべての場所:地上の人または物件に対し、過度の危険性を及ぼすことなく安全な不時着を行うことが可能な高度。
  2. 密集市街区域:水平距離2,000フィート未満にある最も高い障害物の高さから、さらに1,000フィート加えた高度。
  3. 人口密集地:対地500フィートAGL(Above Ground Level)の高度。
  4. 開放水面または過疎地域:地上の人、物件から直線距離で500フィートの高度。
  5. ヘリコプター:地上の人、物件に危害を与えない場合で、FAAによって特別に規定されたヘリコプターのための飛行ルートおよび高度に従うことにより上記2,3,4より低い高度で飛行できる。

 

その他

図26のようなセクショナルチャートでは、密集市街区域を黄色の塗りつぶしで表現しています。
夜間飛行したとき、この黄色のエリアの輪郭と、建物の明かりや街路灯などで明るいエリアの輪郭が一致するので、暗くても自分の位置を確認しやすくなっています。

 

obstacles

obstacles

また、セクショナルチャートでは、障害物(Obstacles)の高さをMSLとAGLの両方で記載している場合があります。
太字の高度がMSL(Mean Sea Level)、かっこ内の高度がAGLです。飛行中、衝突防止や最低安全高度を確認するのに必要なのはMSLですが、塔自体の高さを判断するのにAGLがあると便利なためです。

余談ですが、電波塔の中には本体は細いため直立させるのにガイワイヤー(支線)を周囲から張っているものがあります。本体のみに気を取られてガイワイヤーに衝突しないよう注意してください。