燃料消費量の計算,クルーズパワーセッティング


ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、表を使った予定燃料消費量の求め方を解説します。

 

例題

10. PLT012 PVT
(Refer to figure 35.) What is the expected fuel consumption for a 1,000-nautical mile flight under the following conditions?

Pressure altitude 8,000 ft
Temperature 22 °C
Manifold pressure 20.8 inches Hg
Wind Calm

A) 60.2 gallons.
B) 70.1 gallons.
C) 73.2 gallons.

 

figure35

figure35

 

図35(飛行機のパワーセッティング・テーブル)を使用し、設問の条件下において、1,000nm の距離を飛行する場合、どれくらいの燃料を消費するかという問題です。風は無風です。

 

予備知識

気圧高度(Pressure Altitude):航空機の高度計の規正値を標準値(29.92 inches Hg)に合わせたときに表示される高度。

真対気速度(TAS):航空機とその周りの大気との相対速度。標準大気中で飛行した場合のみ、航空機の対気速度計の指示(IAS)と指示が一致する。無風の場合は、TASと対地速度(GS)は等しくなる。

指示外気温度(IOAT):航空機の機外に設けられた温度センサーによって指示される温度。

吸気管圧力(Manifold Pressure):エンジンとキャブレーター(スロットルボデー)の間にあるインテーク・マニフォールドの圧力。エンジンの回転が増加すると低くなり、スロットルを開くと高くなる。

燃料消費率(GPH):1時間当たり何ガロン消費するかを表したもの。

 

問題の解き方

1.図35から気圧高度8,000ft、IOAT 22℃、吸気管圧力20.8 inches Hgの条件に一致するところを探す。

2.一致しているところのGPHおよびTAS(KTS)を記録する。

3.求めたTAS(KTS)で1,000nm飛行した場合の所要時間を計算する。

4.所要時間にGPHを乗じる。

注意

必ず単位をそろえること。表中、TASはKTS(Knots)とMPHがありますが、今回の問題では、距離はnm(nautical mile)を使用しているのでKTSを使用して計算します。

図35の表は、大きく3つに分かれています。標準大気(International Standard Atmosphere:標準海面において15℃)が中心にあり、左側が標準より20℃低い温度(-5℃)、右側が標準より20℃高い温度(35℃)の場合です。 

所要時間や燃料消費量を計算する場合は、フライトコンピューターを使用します。今回は持っていない方のために、筆算で行います。

 

手順

1.表から、GPHおよびTAS(KTS)を求める。右側の表(ISA+20℃)で気圧高度8,000ftの場所では、IOAT 22℃、MAN.PRESS 20.8 in HG、GPH 11.5、TAS 164KTSとなっています。

ISA 20c@8,000ft

ISA 20c@8,000ft

2.TAS 164KTSで1,000nmを飛行する場合の所要時間は、1,000/164=約6.1時間(6 時間 6分)

3.燃料消費率 GPH 11.5 で6.098時間飛行すると、予定使用燃料は、11.5 x 6.097= 約70.1 gal

まとめ

速度=距離/時間の公式を使用するか、フライトコンピューターを使用します。練習のために、フライトコンピューターを使用することをお勧めします。