旋回計から得ることのできる情報:A turn coordinator provides an indication of the

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、航空機の計器に関する問題です。

例題

  1. PLT187 PVT

(Refer to figure 5.) A turn coordinator provides an indication of the

A) movement of the aircraft about the yaw and roll axis.
B) angle of bank up to but not exceeding 30°.
C) attitude of the aircraft with reference to the longitudinal axis.

fig.5

fig.5

日本語訳

24.  PLT187a PVT

(図 5.) 旋回計から得ることのできる情報は、

A) 航空機のヨー軸とロール軸周りの運動
B) 30°を超えない範囲のバンク角
C) 縦軸を基準とした航空機の姿勢

 

解答

A) 航空機のヨー軸とロール軸周りの運動

 

解説

ターン・コーディネーターは、ヘディング・インジケーター(DG)や姿勢指示器(ATI)のようにジャイロを使用した計器です。一般的に、DGやATIはエンジンによって駆動されるバキューム・ポンプで発生した負圧によってジャイロを駆動させています。ターン・コーディネーターのジャイロは、電気モーターによって駆動されています。これにより、バキューム・ポンプ系統に不具合があった場合、DGやATIが使用不能になっても作動を続けることが可能です。

ターン・コーディネーターは上図のように、ミニチュア・プレーンと傾斜計で構成されています。例えば、航空機が右旋回するときは、ミニチュア・プレーンも右に傾きます。しかし、ミニチュア・プレーンの傾く角度は、航空機のバンク角と直接の関係はありません。パイロットが急激なバンク操作を行うと、ミニチュア・プレーンの傾きは大きくなります。また、旋回率が大きいとき(小さな半径で旋回するとき)ミニチュア・プレーンの傾きが大きくなります。

傾斜計のボールは、旋回時に中心の位置になるようにラダー・ペダルで調整します。例えば、航空機が右旋回するときは、右にエルロンを切ると同時に、右にラダーペダルを踏みこみますが、踏み込みが足りないと、旋回計のボールは右側に移動します。これを『スリップ』といいます。(図8-22左)逆にペダルの踏み込みが大きすぎると、旋回計のボールは左側に移動します。これを『スキッド』といいます。(図8-22右)

turn_coordinator

turn_coordinator

飛行機が右旋回中にスリップすると、搭乗員は右側(旋回中心方向)に傾くように力を受けます。逆にスキッドを起こしている場合、搭乗員は自動車やボートの旋回時のように、左側(旋回中心とは逆の方向)に傾く力を受けます。

旋回中にボールが中心にあるように旋回すると、搭乗員は地上で座っているときのように、右にも左にも傾かずに、ただし、上から押さえつけられるような力を受けます。このような旋回を『釣り合い旋回』(コーディネーテッド・ターン)といいます。(図8-22下)

ターン・コーディネーターのフェース部分の両側には、それぞれ2つの白線によるマーキングがあります。水平飛行時はミニチュア・プレーンの翼端が上側の白線を指しています。これは航空機が旋回率『ゼロ』であることを表しています。

傾斜計のボールを中心に維持しながら、下側のラインにミニチュア・プレーンの翼端が一致するようにして、旋回を行うと、ちょうど2分で360°の旋回を行うことが出来ます。これは一秒につき3°の旋回を行うということであり、『標準率旋回』と呼ばれています。

VFRのパイロットが、飛行中、不意に雲に突入してしまった場合、ターン・コーディネーターを使用して、1分の標準旋回を行うと、180°でUターンすることが可能となり雲から最短で脱出することが出来ます。また、標準率旋回はIFRで飛行する場合はとても重要な基本操作となります。

 

まとめ

航空機の旋回は、ロール軸まわりの運動とヨー軸まわりの運動が複合されたものです。この2つの運動を可視化してくれる計器がターン・コーディネーターです。姿勢指示器(ATI)のようにバンク角やピッチ角を表示してくれるものではありません。旋回率を表示してくれる計器です。

ヘリコプターのランニング・テイクオフ:Under what condition should a helicopter pilot consider using a running takeoff?

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、ヘリコプターの離陸方法に関する問題です。

例題

251. PLT222 PVT

Under what condition should a helicopter pilot consider using a running takeoff?

 

A) When gross weight or density altitude prevents a sustained hover at normal hovering altitude.

B) When a normal climb speed is assured between 10 and 20 feet.

C) When the additional airspeed can be quickly converted to altitude

 

日本語訳

251. PLT222a PVT

ヘリコプターの操縦士が、ランニング・テイクオフ(滑走による離陸)を検討しなければならないのはどのような状況のときか

A) 総重量または密度高度の影響で通常のホバリング高度を保てない場合

B) 高度10 から 20 フィートで通常の上昇速度が確保できる場合

C) 対気速度の余裕がすぐに高度に変換可能な場合.

 

解答

A) 総重量または密度高度の影響で通常のホバリング高度を保てない場合

 

解説

ランニング・テイクオフとは
ヘリコプターは、総重量または密度高度が大きいとき、通常のホバリング高度(3から5フィートで空中停止)が維持できない場合は、飛行機のように地上滑走しながら離陸することが出来ます。ヘリコプターに前進速度を与えることにより、メイン・ローターに転移揚力(Translational Lift)が発生し、揚力を増加させることが出来るので、ホバリングからの通常離陸(Normal Take-off From a Hover)が不可能な状況でも、ヘリコプターを離陸させることが出来ます。
ランニング・テイクオフは、降着装置が車輪式(Wheel Type)でも、そり式(Skid Type)でも行うことが出来ます。(車輪式の場合は、ローリング・テイクオフといいます)

ヘリコプターは一般的に、ホバリング状態から水平飛行を行い、転移揚力の働く速度に到達すると、コレクティブをさらに上げなくても上昇を始めます。これをホバリングからの通常離陸(A normal takeoff from a hover)といいます。ヘリコプターの離陸方法として他に、Maximum Performance Takeoff があります。これは、出発のパスに障害物がある場合、急角度で上昇しなければならないときに使用する方法です。実施するためには、ヘリコプターに、OGE(地面効果外)でホバリング可能な、出力の余裕が必要となります。

fig.10-2

fig.10-2

ランニング・テイクオフの方法
ランニング・テイクオフは、飛行機の離陸と同様に出来るだけ風に正対して行います。地上停止状態から、コレクティブ・ピッチ・コントロールを徐々に上げていき、スキッドに乗っている、ヘリコプターの重量を出来るだけゼロに近づけた状態で、サイクリック・コントロールを若干前方に移動させます。これにより、ローター・ディスク(ローターが作り出す仮想円盤)が前傾し、ヘリコプターが前方に滑走を始めます。前進により、転移揚力が発生すると、コレクティブを維持したままでヘリコプターは浮揚します。

浮揚しても、地面効果の働く高度を維持したまま通常の上昇速度まで上がるのを待ち、その後通常の上昇に移ります。

ランニング・テイクオフと同様の方法で着陸を行う、ランニング・ランディングもあります。

ランニング・テイクオフの実施条件
ランニング・テイクオフを行う場合、そのヘリコプターが一時的でもホバリングを行えることが必要です。ヘリコプターが地面から離れることが出来ない場合、ランニング・テイクオフを実施し、一旦空中に浮揚することが出来ても、その後の空中操作(上昇・旋回)を行うための十分な出力は得られません。また、滑走する路面の長さや平滑性もランニング・テイクオフを行う上で重要な要素となります。

ヘリコプターの転倒を防止するため、離陸後十分な高度を獲得するまでは、機首を進行方向に維持することも必要です。

ランニング・テイクオフのシミュレーション
飛行訓練でランニング・テイクオフの模擬練習を行う場合は、MAP(吸気管圧力)を通常のホバリングよりも、1-2インチ程度低くするか、トルクを3-5パーセント低くします。

 

まとめ

ランニング・テイクオフは、ヘリコプターの重量や密度高度により、通常のホバリングが出来ないときに実施します。

前方に滑走し、転移揚力が発生する速度まで加速することで足りない揚力を補います。

ランニング・テイクオフを行うためには直線の滑走距離が十分にとれること、および平滑な地表が必要です。

滑走中と、離陸直後の高度が低いときは、ヘリコプターの機首の方向と航跡が一致することが大切です。これは、転倒防止のためと、地表とスキッドの摩擦を最低限にするためです。

地表を滑走するときは、サイクリックを前方に倒しすぎないようにしましょう。スキッドと地表の摩擦が増えるとともに、転倒のリスクが増加します。

離陸後、機首を下げすぎると、揚力が減少し、再度接地してしまいます。フォワード・サイクリックの使用は最低限に。

通常の上昇速度に達する前に、高度を上げすぎないようにしてください。地面効果を利用できる高度は、通常、メイン・ローター直径の2分の1程度です。

 

 

 

 

FAAパイロットハンドブック2016・日本語版 #15 エアスペース (練習問題CD付)

201613
201613

201613

 

飛行訓練生のバイブルを完全日本語化

201613__01

米国連邦航空局が2016年に発行した飛行訓練生のための公式参考書を日本語化しました。 20ページの図解豊富な冊子と練習問題+資料集CDが付属しています。

パイロットハンドブックは、17のチャプターに分かれています。 この冊子はチャプター15(エアスペース)について詳しく解説 をしています。

アメリカでは100人に1人がパイロットライセンスを所持していると言われています。 飛行機を操縦するということは特別なことではなく、正しい教育を受ければ誰もが実現可能な 夢なのです。

アメリカの飛行訓練用教材は、誰でもわかりやすく勉強が出来るようによく考えられて作成されています。

この本はFAA(連邦航空局)が編集・発行をしています。自家用操縦士の国家試験は、全てこの中から、 出題されます。(学科試験・実技口頭試問)

 


テキストの内容

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201613__02

1.管制空域
2.非管制空域
3.特別使用空域
4.その他の空域
5.航空交通管制と国内空域システム
6.連邦規則集(抜粋)

2020年1月から、空域によって放送型自動従属監視装置(ADS-B OUT)等の装着が必要となることから、 空域ごとに必要な装備、パイロットの資格、最低気象条件を再編集しています。

 

 

201613__03

201613__03


付属CDの内容

1.PILOT’S HANDBOOK CHAPTER 15 AIRSPACE(原本)
2.練習問題・解説
3.英文資料集

この教材を使用するときのアドバイスとして、最初に日本語版テキストで内容を理解したら、付属CDの 原本と照らし合わせて、英文で理解できるように頑張りましょう。

一度頭の中で理解していますから、英文も理解しやすい と思います。これは、実技口頭試験(オーラル)対策でもあります。

夢を実現するための第一歩として、この教材をお役立ていただければ幸いです。また、メールによるサポートも しております。ご不明な点は筆者に遠慮なくお尋ねください。

軍事作戦空域:Military Operations Area (MOA)

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。今回は、空域に関する問題です。

 

例題

18.PLT393
What action should a pilot take when operating under VFR in a Military Operations Area (MOA)?

A) Obtain a clearance from the controlling agency prior to entering the MOA.
B) Operate only on the airways that transverse the MOA.
C) Exercise extreme caution when military activity is being conducted.

MOA_Chart

MOA_Chart

 

日本語訳

18. PLT393c PVT
有視界飛行方式(VFR)の条件下で飛行中、軍事作戦空域(MOA)内ではパイロットはどのような行動をとるべきか

A) MOA 区域内に進入する前に管制機関から許可を得る
B) MOA を横断する航空路上のみを飛行する
C) 軍事活動が行われているときは、最大限の注意を払う

 

解答
C) 軍事活動が行われているときは、最大限の注意を払う

 

解説
空域(エアスペース)は4のタイプに分かれていて、それは管制空域、非管制空域、特別使用空域およびその他の空域です。

MOA(Military Operations Area)は、特別使用空域の一つで、他の特別使用空域として禁止区域(Prohibited Area)、制限区域(Restricted Area)、警告区域(Warning Area)、警戒区域(Alert Area) 、そして火器管制区域(CFA)があります。

航空図上のMOAはマゼンタ(紫色)の帯で囲まれた区域で、MOAの名称が明記されています。(下図参照)

 

 

MOA_Legend

MOA_Legend

 

MOA_Chart

MOA_Chart

軍事作戦区域(MOA)

MOAは、垂直方向および水平方向に一定の大きさを持つ空域で、軍隊の訓練活動と計器飛行方式の航空機との間隔をとるために設置されています。MOAが使用されているときはいつでも、ATCによって、IFRに必要な間隔を提供可能な場合、活動に参加していないIFRの航空機は、空域通過の許可をうけることが可能です。それ以外の場合は、ATCは新たなルートを提供するか、非参加IFR航空機の立ち入りを制限します。MOAは区分航空図、VFRターミナル図または低高度エンルート図に図示されていますが、名称は数字では表されていません。(例えば、Camden Ridge MOA)
またMOAは、区分航空図の枠外に、運用時間、影響する高度、管轄機関の詳細が表示されています。(下図参照)

例えば、下図のBronco 1 MOAでは、8,000FT MSL以上、FL180(気圧高度18,000)未満の高度で、07:00から20:00の時間内に、月曜日から金曜日の間、運用が行われています。管轄するATC機関は、Fort Worth Centerで、126.45, 132.6, 133.7, 316.1, 269.05, 350.2MHzの周波数でコンタクト可能です。

MOA_details

MOA_details

 

まとめ
MOAは、この空域の軍事訓練に参加している航空機と、IFR(計器飛行方式)の航空機の間に間隔をとって、安全を確保するために設けられています。従って、VFRの航空機はこの空域に入るためには、ATCの許可は必要ない代わりに、事前に軍事活動が行われていないかを確認し、軍事活動が行われている場合は、この空域を避けるか、または最大限の注意を払って飛行しなければなりません。

通常、MOAは広大な区域なので、迂回することは難しく、区域内で飛行する軍用機には、航空法が適用されていないため、例えば地上から数10メートルの高度を、200ノット以上の高速で飛行する場合があり非常に危険なため、MOAが活動している場合は、飛行計画を見直す必要があります。

VFR飛行視程・雲からの距離:The day VFR visibility and cloud clearance requirements

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、空域に関する問題です。

 

例題

33.PLT064

(Refer to FAA-CT-8080-2H, Figure 26, area 2.) The day VFR visibility and cloud clearance requirements to operate over the town of Cooperstown, after departing and climbing out of the Cooperstown Airport at or below 700 feet AGL are

A) 1 mile and clear of clouds.
B) 1 mile and 1,000 feet above, 500 feet below, and 2,000 feet horizontally from clouds.
C) 3 miles and clear of clouds.

Figure26_area2

Figure26_area2

日本語訳

  1. PLT064a PVT
    ( 図26, エリア2.) 次の昼間VFR の視程および雲とのクリアランスの要件はいくらか。航空機はCooperstown 飛行場を離陸・上昇しCooperstown という街の上空700 feet AGL以下 にいる。

A) 1 mile の飛行視程かつ雲から離れて飛行する
B) 1 mile の飛行視程、雲の上側1,000 feet, 下側500 feet, 水平方向2,000 feet のクリアランス
C) 3 miles の飛行視程かつ雲から離れて飛行する

 

解答
A) 1 mile の飛行視程かつ雲から離れて飛行する

 

解説
1. Cooperstown飛行場周辺のマゼンタ(赤紫色)のドーナツ円は、クラスE空域が対地700FT AGLより上の高度から始まることを示しています。(下図参照)

airspace_legend

airspace_legend

2. Cooperstown飛行場の標高は、海抜1,424FT MSL。対地700FT AGL(2,124FT MSL)より上の高度は、クラスGエアスペース、対地700FT AGL(2,124FT MSL)より上の高度はクラスEエアスペースとなります。

3.クラスGエアスペース、対地1,200未満の空域での昼間の最低気象条件は、標高にかかわらず『飛行視程1SM(法定マイル)、かつ雲を避けて飛行することが出来ること』です。(下図参照)

VFR_Weather_Minima

VFR_Weather_Minima

まとめ
この問題は、航空図の見方と、有視界飛行方式(VFR)の最低気象条件の知識が問われています。航法計画を何度も作成して、自分が今、どの空域を飛行しているのかを航空図で確認することによって、空域に対する認識を自分のものにしてください。

 

FAAパイロットハンドブック2016・日本語版 #12 航空気象 I (練習問題CD付)

201612
201612

201612

飛行訓練生のバイブルを完全日本語化

米国連邦航空局が2016年に発行した飛行訓練生のための公式参考書を日本語化しました。 25ページの図解豊富な冊子に、英文原本+練習問題+参考資料集を収録したCDが付属しています。

パイロットハンドブックは、17のチャプターに分かれています。この冊子は チャプター12(航空気象 I)について詳しく解説をしています。

アメリカでは100人に1人がパイロットライセンスを所持していると言われています。 飛行機を操縦するということは特別なことではなく、正しい教育を受ければ誰もが実現可能な 夢なのです。

アメリカの飛行訓練用教材は、誰でもわかりやすく勉強が出来るようによく考えられて作成されています。 難しい数式は最低限に、カラー図解を多用しています。

この本はFAA(連邦航空局)が編集・発行をしています。自家用操縦士の国家試験は、全てこの中から、 出題されます。(学科試験・実技口頭試問)


テキストの内容

1.大気の組成
2.コリオリの力
3.大気圧の測定
4.高度と気圧
5.高度と人体
6.風と気流
7.大気の安定度
8.気団
9.前線
10.雷雲の生涯
11.スコール・ライン
12.竜巻
13.乱気流
14.着氷
15.雹
16.シーリングと視程

ウインド・シア、ダウン・バースト、アイシングなど雷雲に伴う悪天候は、航空機事故に直結するため、 特に詳しく解説しています。


付属CDの内容

1.PILOT’S HANDBOOK CHAPTER 12 AVIATION WEATHER THEORY(原本)
2.練習問題・解説
3.参考資料集(アドバイザリー・サーキュラ・AIM)

 

この教材を使用するときのアドバイスとして、最初に日本語版テキストで内容を理解したら、付属CDの 原本と照らし合わせて、英文で理解できるように頑張りましょう。

一度頭の中で理解していますから、英文も理解しやすい と思います。これは、実技口頭試験(オーラル)対策でもあります。

 

夢を実現するための第一歩として、この教材をお役立ていただければ幸いです。また、メールによるサポートも しております。ご不明な点は筆者に遠慮なくお尋ねください。

飛行中の風向・風速を求める:If a true heading of 135° results in a ground track of 130° and a true airspeed of 135 knots results in a groundspeed of 140 knots, the wind would be from

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、航法に関する問題です。

 

例題

40. PLT198 PVT

If a true heading of 135° results in a ground track of 130° and a true airspeed of 135 knots results in a groundspeed of 140 knots, the wind would be from

A) 019° and 12 knots
B) 200° and 13 knots
C) 246° and 13 knots

 

日本語訳

40. PLT198c PVT

真針路135°で飛行しているとき、結果として、航跡が130°となった。また、真対気速度は135ノットであったが、対地速度は140ノットであった。この場合予測される風向・風速は次のどれか。

A) 風向019°  風速12ノット
B) 風向200°  風速13ノット
C) 風向246°  風速13ノット

 

解答

C) 風向246°  風速13ノット

 

解説

考え方

真針路(TH)が135°で、航跡(TR)が130°の場合、航空機は左に流されているので、風は右側から吹いています。
また、真対気速度(TAS)が135ノット、対地速度(GS)が140ノットなので、追い風を受けていることがわかります。

選択肢Aは、左からの向かい風なので誤りです。
選択肢Bは、右65°からの向かい風なので誤りです。

選択肢Cは、右111°からの追い風なので、これが正解となります。

 

フライトコンピューターを使用して、風向・風速を求める方法

フライトコンピューターでは、航跡(TR)を真航路(TC)に、航跡(TR)と真針路(TH)の角度を偏流修正角(WCA)と読み替えて計算します。

1.True Indexに航跡130を合わせる。
2.スライダーを動かしてグロメット(中心のハトメ)にGS140ノットの弧線を合わせる。
3.WCA(偏流修正角)+5の線とTAS135ノット弧線の交差位置に鉛筆でウインド・ドットを付ける。(下図の矢印)

4.ウインド・ドット(鉛筆で付けたマーク)をスライダーの中心の線と合致させる。(下図の矢印)
5.グロメットからウインド・ドットの間隔(13ノット)が風速となる。
6.True Indexの表示(248)が風向となる。

上記でWCA+5°とは、航跡130°に対して機首が135°なので、右側(+)に5°偏流修正角を取っているという意味です。航跡は、地面に描かれた航空機のコース(TC)ともいえるので、そのコースを飛行するため、右からの風に対して機首を5°右に向けて修正すると考えるとわかりやすいと思います。

航法計画を行うとき、真対気速度(TAS)と予想される風から、偏流修正角(WCA)とGSをフライトコンピューターで計算(裏三角形を作図)しますが、今回はその手順を逆にして風向と風速を求めています。

 

シーリング:ceiling is defined as the height above the Earth’s surface

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、気象に関する問題です。

 

例題

  1. PLT026 PVT

For aviation purposes, ceiling is defined as the height above the Earth’s surface of the

A) lowest reported obscuration and the highest layer of clouds reported as overcast.

B) lowest broken or overcast layer or vertical visibility into an obscuration.

C) lowest layer of clouds reported as scattered, broken, or thin.

 

日本語訳

113.  PLT026b PVT

航空気象における、シーリングの定義は地表面から何処までの高さをいうか

A) 報告された一番低い”天空不明層”および最も高い”オーバーキャスト”と報告された雲の層までをいう

B) 最も低い”ブロークン”または”オーバーキャスト”層まで。”天空不明”の場合は、垂直視程

C)”スキャタード”ブロークン””薄雲”と報告された最も低い層まで

 

解答

B) 最も低い”ブロークン”または”オーバーキャスト”層まで。”天空不明”の場合は、垂直視程

 

解説

シーリングとは『天井』のことですが、航空気象では次のように定義されています。

 

Ceiling
For aviation purposes, a ceiling is the lowest layer of clouds reported as being broken or overcast, or the vertical visibility into an obscuration like fog or haze.

Clouds are reported as broken when five-eighths to seven-eighths of the sky is covered with clouds. Overcast means the entire sky is covered with clouds.

Current ceiling information is reported by the aviation routine weather report (METAR) and automated weather stations of various types.

シーリング
航空の目的において、シーリングは一番低い層の雲でブロークンまたはオーバーキャストと報告されたものの地表から雲梯までの垂直距離、あるいは霧や煙霧などによって天空が遮蔽されている場合は、垂直視程で表されます。

雲が全天の5/8から7/8を覆った場合、ブロークンと報告されます。オーバーキャストとは全天が雲で覆われた状態を意味します。

現在のシーリング情報は、定時航空気象実況通報式(METAR)や各種の自動気象観測局によってレポートされます。

 

まとめ

シーリングは雲量5/8(ファイブ・オクタス)以上の地表から雲底までの垂直距離を言います。(Layer Aloft Ceiling)

天空が霧などによって遮蔽されている場合は、垂直視程でシーリングを表します。(Indefinite Ceiling)

下図を参考にしてください。

Figure 16-6. Layer Aloft Ceiling Versus Indefinite Ceiling

Figure 16-6. Layer Aloft Ceiling Versus Indefinite Ceiling

 

スピンの条件:Flight condition must an aircraft be placed in order to spin

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、固定翼機のスピンに関する問題です。

例題

6.PLT245 PVT

In what flight condition must an aircraft be placed in order to spin?

A) Partially stalled with one wing low.
B) In a steep diving spiral.
C) Stalled.

 

日本語訳

6.  PLT245c PVT

飛行機がスピンを起こすためにはどのような条件が必要か

A) 片方の主翼が下がっている状態で部分的に失速していること
B) 急角度の螺旋降下を行っていること
C) 失速していること

 

解答

C) 失速していること

 

解説

スピンとスパイラル・ダイブの違い
スピンは主翼の片方が、反対側の主翼よりも大きく失速している場合、左右の主翼の間に揚力と抗力の差が生じることにより、失速の度合いが大きい側(揚力小・抗力大)の主翼を旋転の中心側として低速で旋転を繰り返し、高度を失っていく現象。

スパイラル・ダイブは、高度を処理するときなど故意に行う場合と、夜間や雲中など水平の目印となるものがないときに予期せずに陥る場合があるが、後者は、何らかの外力により機体が傾いたときに、パイロットが傾きに気付かず、その結果、高度が下がるのをエレベーターを引くことで修正しようとした場合、さらにバンク角が増加し高度を失うため、さらにエレベーターを引く悪循環に陥り、急激に高度を失っていく。

スピンとスパイラル・ダイブは旋転(旋回)しながら高度を失っていくので、一見同じ現象のようですが大きな違いがあり、それは速度です。

スピンは低速度で発生し、スピン中もほぼ一定の速度を維持します。それに対してスパイラル・ダイブは、速度がどんどん大きくなっていく特徴があります。

4-12

4-12

 

リカバリー方法
スパイラル・ダイブは、主翼の傾きが原因なので、まずエルロンで水平に修正するとともに、速度増加を抑えるためにパワーをアイドルにします。その後、エレベーターを引いて水平飛行に戻ります。

スピンは、主翼が失速しているためエルロンで傾きを直すことが出来ません。パワーをアイドル、エルロンを中立、ラダーを旋転の反対方向にフルに踏み旋転を止め、旋転が止まったらエレベータを押すことで、主翼の迎え角を減らし、主翼の失速を回復させます。その後、エレベーターを引き水平飛行に戻します。

 

結論

スピンは必ず主翼の失速を伴います。また、失速は主翼全体がいっぺんに失速するのではなく、主翼の後縁から前縁へと徐々に失速が波及するため左右の主翼で失速の度合いが違うことが起こりえます。このことで左右の主翼の揚力と抗力の差が発生しスピンの原因となります。

 

FAAパイロットハンドブック2016・日本語版 #5 航空力学 (練習問題CD付)

201611

飛行訓練生のバイブルを完全日本語化

米国連邦航空局が2016年に発行した飛行訓練生のための公式参考書を日本語化しました。 53ページの図解豊富な冊子に、英文原本+練習問題を収録したCDが付属しています。

パイロットハンドブックは、17のチャプターに分かれています。この冊子は チャプター5(航空力学)について詳しく解説をしています。

アメリカでは100人に1人がパイロットライセンスを所持していると言われています。 飛行機を操縦するということは特別なことではなく、正しい教育を受ければ誰もが実現可能な 夢なのです。

アメリカの飛行訓練用教材は、誰でもわかりやすく勉強が出来るようによく考えられて作成されています。 難しい数式は最低限に、カラー図解を多用しています。

この本はFAA(連邦航空局)が編集・発行をしています。自家用操縦士の国家試験は、全てこの中から、 出題されます。(学科試験・実技口頭試問)


テキストの内容

1.航空機に作用する力
2.翼端渦
3.地面効果
4.航空機の軸
5.モーメントとアーム
6.航空機の設計上の性格
7.主翼の平面形状による影響
8.飛行運動における空気力学
9.失速
10.迎え角指示器
11.プロペラの基本的原理
12.荷重倍数
13.重量・重心
14.高速飛行

2016年の改定から、AOA(迎え角)指示器についての項目が増えました。不用意に臨界迎え角を超えて 操縦不能になる事故は、多くが死亡事故につながるため、パイロットとして事前に知っておくべき事項です。


付属CDの内容

  1.PILOT’S HANDBOOK CHAPTER 5 AERODYNAMICS(原本)
2.練習問題・解説

この教材を使用するときのアドバイスとして、最初に日本語版テキストで内容を理解したら、付属CDの 原本と照らし合わせて、英文で理解できるように頑張りましょう。

一度頭の中で理解していますから、英文も理解しやすい と思います。これは、実技口頭試験(オーラル)対策でもあります。

 

夢を実現するための第一歩として、この教材をお役立ていただければ幸いです。また、メールによるサポートも しております。ご不明な点は筆者に遠慮なくお尋ねください。