乾燥断熱減率:Dry Adiabatic Lapse Rate

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

 

今回は、気象の問題です。

 

例題

367. I25 PVT
What is the approximate base of the cumulus clouds if the surface air temperature at 1,000 feet
MSL is 70 °F and the dewpoint is 48 °F?
A) 4,000 feet MSL.
B) 5,000 feet MSL.
C) 6,000 feet MSL.

 

標高1,000フィートで気温70 °F 露点温度48 °Fの場合、積雲の雲底高度を求めなさい。

 

予備知識

華氏と摂氏の関係(Fahrenheit to Celsius conversion ):[°F]=9/5x[°C]+32

乾燥断熱減率(Dry Adiabatic Lapse rate ):空気中に含まれる水蒸気が飽和していない状態(霧や雨など凝結水分がない状態)では、高度が1,000フィート上昇するごとに温度が5.4°F(3°C)低下する。

露点温度(DewPoint ):水蒸気を含んだ空気を冷却した場合、凝結が始まるときの温度。

露点温度と高度の関係:1,000フィート上昇するごとに1°F露点温度が低下する。

 

 

 

問題の解き方

積雲の雲底高度(AGL)=1,000 x(気温-露点温度)/ (5.4-1)

 

上記の式に問題の数字を当てはめると、5,000ft AGLになるので、MSLに換算するために標高1,000ftをプラスします。

答えは、6,000ft MSL

 

Cumulus

Cumulus

 

解説

対流圏では、高度が上昇すると温度が低下します。その割合を気温逓減率といいますが、空気中に雲、霧など目に見ることが出来る水分がない(飽和していない)場合の減率を「乾燥断熱減率」といい、1,000フィート上昇するごとに5.4°F(3°C)低下します。

問題のように、地表で気温70 °F 露点温度48 °Fの場合、空気中の水蒸気が飽和していないため、霧などの凝結水分は地上で発生しません。もしも気温だけが低下して48 °Fまたはそれ以下になったとしたら、空気中の水蒸気が凝結して目に見える形で外に出てきます。

雲が出来始まる(雲の底)高度は、まさに温度が露点またはそれ以下になった場合です。
ということは、露点温度に達する高度を求めれば、雲底高度を求めることが出来ます。

今、気温と露点温度の差は、70-48=22°Fです。乾燥断熱減率が5.4°F/1,000ftなので、約4,000フィート上昇すれば露点温度の48°Fになると思いませんか?

1,000 x 22/5.4=約 4,074 フィート

それに現在地標高の1,000フィートを加えて約5,000フィートが雲底高度になると思いませんか?

 

でも、正解は6,000フィートなのです。

 

その理由をこれからお話しします。

 

今、地表で気温と露点温度の差は22°Fあります。この状況で気温だけが22°F低下すれば、地表に雲の底が出現します。しかし、実際には地表で温度を下げていき、露点に達するのではなく、「上空で」露点に達するということなのです。

上空は、地表に比べて気圧が低いのはご存知だと思います。
気圧が低いというのは、空気が薄いと考えることが出来ます。
空気が薄ければ、比率は同じでも、水蒸気の密度も小さくなるので、露点温度は地表に比べて低くなります。

1,000フィートにつき 1°F 露点温度が低下すると言われています。

 

そこで、前記の公式を見てください。

積雲の雲底高度(AGL)=1,000 x(気温-露点温度)/ (5.4-1)

CR: 5.4-14.4

 

乾燥断熱減率と高度に対する露点の変化の差を換算した数値(Conversion Rate)=4.4が高度上昇に対する温度低下の割合となります。

 

これで計算すると、

 

積雲の雲底高度(AGL)=1,000 x(70-48)/ (5.4-1)

 

22,000/4.4=5,000ft AGL

これに標高1,000をプラスして 6,000ft MSL

 

ところで、問題には「積雲」の雲底高度となっていますが、どうして積雲にこだわっているか分かりますか?

あと一つ、今回は省略しましたが「湿潤断熱減率」というのもあります。
フェーン現象(Chinook Wind)を説明するときなどに必要ですから、これもぜひ調べておいてください。

 

おわり

 

 

 

 

 

VORのラジアルからETAを求める: What is the estimated time of arrival at…

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、航法の問題です。

 

例題

408. H983 PVT
(Refer to figure 24.) While en route on Victor 185, a flight crosses the 248° radial of Allendale VOR at 0953 and then crosses the 216° radial of Allendale VOR at 1000. What is the estimated time of arrival at Savannah VORTAC?
A) 1023.
B) 1028.
C) 1036.

航空路 V-185 を飛行中、0953にAllendale VOR のラジアル248を通過し、1000にはラジアル216を通過した場合、Savannah VORTAC の到着予定時刻は? という問題です。

 

figure24

figure24

上図の赤線はVFR航空路 V-185で、右上の Savannah VORTAC に向かっています。

今、Allendale VOR のラジアル248を09時53分に通過しました。

ラジアルは図の左上にあるAllendale VOR局から放射状に引いた緑線です。
この時のVORの指示は OBS を248 にセットしたら CDI の振れが0でFROMの表示になっているはずです。

7分後の10時00分にもう一度 Allendale VOR のラジアルを調べたら、OBSを216で CDI の振れが0でFROMの表示になりました。

これを地図上に赤と緑の線で記入したのが、上の図です。
赤の線(航空路V-185)とラジアル248の交点が、航空機が09時53分にいた場所です。
同様に、赤の線(航空路V-185)とラジアル216の交点が、航空機が10時00分にいた場所です。

 

この7分間の移動距離を測定すると10NMでした。プロッターがあれば測っても良いのですが、上図は正しい縮尺ではありません。そのような場合、付近の緯度目盛りを使用してください。ひと目盛が1NM(Nautical Mile)です。

同様に、1000の位置から Savannah VORTAC への距離を測ると、40.00NM ありました。

 

7分で10NMを移動する航空機は40NMを何分で移動するでしょうか?

計算しても良いのですが、ここはフライトコンピューターを使いましょう。

 

flight computer

flight computer

 

外尺の10(NM)と内尺の70(7分)を合わせます。そして、外尺の40(NM)に対応する内尺を読みます。

28(分)

 

10時00分にラジアル216を通過した航空機はその28分後、Savannah VORTAC 上空に到着します。

というわけで、答えは (B)の1028です。

 

問題からちょっとそれますが、

この航空機の速度は何ノットでしょうか?

上のコンピューターの図を見るとすぐにわかります。

 

いかがですか?フライトコンピューターはとても便利でしょう?

 

もちろん、フライトコンピューターが無くても計算で求めることが出来ます。が、

フライトコンピューターはパイロット訓練で必要なので、よろしければこちらでお求めください。

フライトコンピューターの詳しい使い方をお知りになりたいかたは、こんなものも販売しています。
併せてご利用ください。

 

おわり

 

オートローテーション降下:Autorotative Descent

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、ヘリコプターの問題です。

例題

620. PLT175 PVT
Which is a precaution to be observed during an autorotative descent?
A) Do not allow the rate of descent to get too low at zero airspeed.
B) Normally, the airspeed is controlled with the collective pitch.
C) Normally, only the cyclic control is used to make turns.

 

 

オートローテーション降下中に気を付けなければいけないことは? という質問です。
答えは、Cの 「通常、オートローテーション中の旋回は、サイクリックコントロールのみで行う」ですが、その理由を以下にお話しします。

autorotation

autorotation

ヘリコプターは、エンジンやテールローターシステムの故障時、コレクティブピッチコントロールをフルダウンの位置にすることにより、メインローターの回転数を維持しながら、グライダーのようにエンジンの出力が無くても安全な降下を行うことが出来ます。

 

オートローテーション降下中は上図右側のように、メインローターを下から上へ流れる空気がローターに揚力と回転力を同時に与えるので、たとえエンジンがストップしていてもローターが停止することなく揚力も失われることがありません。

話は変わりますが、テールローターの主な働きはエンジンがメインローターを回転させるときに発生するトルクを打ち消すことです。
しかしオートローテーション時には、ワンウエイクラッチによりエンジンの出力が切り離されているため、エンジンのトルクを打ち消す必要がありません。
それでも、メインローターとテールローターはトランスミッションを介して繋がっているため、オートローテーション中はテールローターも回転します。

 

オートローテーション中は、機体もメインローターの回転方向と同じ向きに回転する力が働きます。これは、メインローターを支えているベアリングやトランスミッションの抵抗が機体に作用するためです。

 

そのため、オートローテーション中はメインローターの回転方向と逆にペダルを踏み、ヘディングを進行方向に合わせる必要があります。

オートローテーション中は通常、ペダルはヘディングを進行方向に合わせるためだけに使っています。

ヘリコプターはオートローテーション中、旋回するためにペダルを操作すると、相対風が機体の側面に当たるようになり、空気抵抗が増加し対気速度が低下するため、機首が下がります。
どうして、対気速度が低下すると機首が下がるかというと、多くのヘリコプターがピッチ軸の安定性を持たせるために、重心位置をローターマストの少し前方に置いているためです。

 
ヘリコプターの水平安定板の断面を見ると、翼型が逆になっているのをご存知の方も多いでしょう。
前進飛行中は、相対風により水平安定板に下向きの力が加わり、この力が前寄りに設定された重心による機首下げモーメントを打ち消して、ヘリコプターの水平姿勢に保つようになっています。

 

 

対気速度が減少すると、水平安定板を下向きに押す力も減少するので機首が下がるというわけです。

これは、ヘリコプターを「空力的に重い」状態にして、ピッチ軸に安定性を持たすために設計された仕組みですが、オートローテーション時には操縦に悪影響を与えてしまいます。

オートローテーション中に対気速度やピッチが変化すると狙った位置に着陸することが難しくなってしまいます。
したがって、オートローテーション中の旋回は通常、サイクリックコントロールのみを使用します。

 

選択肢Aは、エンジン出力を伴った通常時であれば、Vortex Ring State (セットリング・ウイズ・パワー)を防止するために必要なことです。「対気速度が0に近いときに降下率を大きくしすぎる」と、自身が作り出す下降気流に入ってしまうため揚力を失うことがあります。ただし、オートローテーション中はその心配はありません。

選択肢Bは、「サイクリックピッチコントロールは対気速度を調整するのに使用する」に直せば正解です。

 

最後に、固定翼機では、対気速度をいつも注意して飛行しなければいけないように、回転翼機は、飛行中どのようなときでもローターRPMを100パーセント付近に維持することが大切です。

 

おわり

 

 

 

 

VORの指示:Aircraft’s position from the VORDME

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、航法計器の問題です。

 

例題

72. PLT101 PVT
(Refer to figure 26, area 5.) The VOR is tuned to the Dallas/Fort Worth VORDME. The omnibearing selector (OBS) is set on 253°, with a TO indication, and a right course deviation indicator (CDI) deflection. What is the aircraft’s position from the VORDME?

A) East-northeast.
B) North-northeast.
C) West-southwest.

OBSノブを 253°の「TO」にセットした状態で、CDIの針が右に振れているときに航空機の位置を答えなさいという問題です。

 

VOR

OBS 253 TO

左図は、この問題のVOR指示を再現したものです。OBSノブを指で回すと外周の方位ダイヤルが回転します。△印にダイアルが25.3になるように合わせたとき、TO/FROMインジケーターがTOになりました。
このとき、CDIの針は右に振れています。

これは、VOR局へ向かう253度のコースが、航空機の位置に対して右側にあることを意味しています。CDIの振れが大きいほど、コースから逸脱していることを表しています。

 

DFW_VORDME

DFW_VORDME

右図の赤い線は局に対して253°TOのコースです。緑の線は253°FROMのコースとなります。

VORの指示は253°TOのコースに対してCDIが右に振れているので、図の印に航空機が位置することを表します。

従って、航空機は局に対してほぼ東(若干北寄りの)に位置していることが分かります。

 

従って正解は(A)の東北東となります。

このように、VORは自分が設定したコースに対して自機の位置を知ることが出来ます。CDIが真っ直ぐになるようにOBSを調整して、TO/FROMインジケーターがFROMになるようにすると、局からのコース(ラジアル)を求めることが出来ます。
2つ以上のVOR局からそれぞれラジアルを求めると、その交差する点が現在地点になります。

反対に、CDIが真っ直ぐになるようにOBSを調整して、TO/FROMインジケーターがTOになるようにすると、自機は局へのコース上にいることになり、CDIが振れないようにそのコース針路を飛行すれば、局へと飛行することが出来ます。
この場合、局を通過するとTO/FROMインジケーターはFROMに変わります。

いずれの場合でも、VORが指示するのは自分が設定したコースに対する自機の位置です
サークリングを続けるなど、その地点にいる限り飛行機のヘディングを変えてもVORの指示は変わりません。

 

地上共振:Ground Resonance

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、ヘリコプター工学の問題です。

 

例題
91.PLT259 PVT
Ground resonance is most likely to develop when

A) on the ground and harmonic vibrations develop between the main and tail rotors. B) a series of shocks causes the rotor system to become unbalanced.
C) there is a combination of a decrease in the angle of attack on the advancing blade and an increase in the angle of attack on the  retreating blade.

グランドレゾナンス(地上共振)はどのようなときに最も起こりやすいかという質問です。

 

予備知識

全関節型ローターヘッドシステム(Fully Articulated Rotor System):ローターヘッドに対して、ローターが上下(フラッピング)前後(リードラグ)に動くことが出来る関節(ヒンジ)を設けているもので、3ブレード以上のメインローターを持つヘリコプターに採用されているものがある。(ヒューズ269シリーズなど)

 

Advancing (Retreating) Blade :ヘリコプターが前進飛行中、相対風(Relative Wind)を受ける側(風上側)のローターブレードを、前進側のブレード(Advancing Blade)といい、風下側のローターブレードを後退側のブレード(Retreating Blade)という。ヘリコプターを上から見て左回転のローターシステムでは、進行方向右側に位置するローターブレードがAdvancing Bladeとなる。

 

地上共振(Ground Resonance)とは?

地上共振は離着陸時にヘリコプターの降着装置が地面に何回か続けて接触した際に、その衝撃がローターシステムに伝わり、ローターヘッドに対するローターの位置が不均衡になるために振動が発生し、胴体の固有振動数とローターの振動が一致して共振を起こします。

ground resonance

ground resonance

全関節型ローターシステムを装備したヘリコプターは、リード・ラグ・ヒンジ(ローターヘッドに対してローターが前後方向に動くことを許容する関節)が装備されており、外部の力が加わった場合にそれぞれのローターの位置が幾何学的な不均衡となり振動が発生します。
ティータリング式やリジッド式ローターシステムを採用しているヘリコプターでは、リード・ラグ・ヒンジがないので地上共振は起こりません。
また、降着装置に車輪式を採用しているヘリコプターの方が、スキッド式よりも地上共振が発生しやすいとされています。

地上共振が起こると、ヘリコプターは短い時間(数十秒程度)で自己破壊を起こしてしまいます。

パイロットは、地上共振の発生を感じた場合、ローター回転数が高く(通常の運用範囲内・100パーセント前後)離陸が可能な場合は、すぐに浮上して空中にとどまることでリカバリーすることが出来ます。
ローター回転数が低く離陸できない場合は、スロットルを閉じ、コレクティブ・レバーを完全に下げてヘリコプターを完全に接地することにより振動を減衰させることが出来ます。

 

問題の解説

選択肢Aは、”メインローターとテールローター間に共振が発生して”とあるので間違いです。地上共振は、メインローターで発生した振動が胴体と共振して起こります。

選択肢Cの、”前進側のローターブレードの迎角が減少し、後退側のローターブレードの迎角が増加する”は、ヘリコプターが前進飛行中は普通に起こっている現象です。後退翼失速の説明にも使われます。

解答はBの、”連続したショックが原因となって、ローターシステムにアンバランスが生じる”です。

Track IR TRACK CLIP PRO互換赤外線LEDマーカー試作品

201608
201608

本体・取付用タイラップ・スポンジテープ付属

商品の特徴

1.Trackclip Pro互換の赤外線LEDマーカー本体です。
2.TrackIR(カメラ・ソフト)は付属しません。
3.付属のタイラップを使用して、お好みのヘッドセットやゴーグルなどに取り付けます。
4.パソコンなどのUSB標準ポートに接続すればすぐに使用できます。
5.USBケーブルを含め、49グラムと軽量でプレイ中に負担の少ない設計です。
6.赤外線LEDは点灯を肉眼で確認できるように、薄く赤色に光るタイプを使用しています。
7.自動復帰ヒューズ(PTCサーミスタ)で回路を保護しています。
8.赤外線フィルターを除去したWEBカメラとフリーソフトを用意すれば、格安でヘッドトラッキングを実現できます。(サポート外)

201608-2

ヘッドセット・ゴーグル・パンダ君は付属していません。

仕様

サイズ: 120x120x20 (mm)
重量:  49 (g)
材質: 低発泡塩化ビニール製本体・アルミニウム製フィッティング・耐熱電子ワイヤ
電源: 5 (V) 150 (mA)
コード:1.5 (m) w/USB Aコネクター
安全装置: PTCサーミスタ
付属品: 取付用タイラップ4本・スポンジテープ

201608-1

手作りのため仕上げは荒いです。

ご注意
手作りによる試作品です。細心の注意を払い作成し動作は確認済みですが、仕上げは荒いです。

高度計規正値: Kollsman Window, Altimeter Settings

ここでは、FAA自家用操縦士学科試験問題の中から、質問の多い問題を解説しています。

今回は、高度計規正値(アルティメーター・セッティング)に関する問題です。

 

例題

21. PLT166
If it is necessary to set the altimeter from 29.15 to 29.85, what change occurs?
A) 70-foot increase in density altitude.
B) 70-foot increase in indicated altitude.
C) 700-foot increase in indicated altitude.

 

高度計規正値を29.15から29.85にセットしなおすと、何が変化しますか?という質問です。

 

予備知識

平均海面(MSL, Mean Sea Level):真高度の基準(0ft)となる仮想面。標高は、平均海面からの実際の高さで、xx ft MSL と表示する。

標準大気(Standard Atmospheric Condition):平均海面上において、温度15℃/59°F, 気圧1013.25 hPa/29.92 in Hg

真高度(True Altitude):平均海面からの実際の垂直距離。

指示高度(Indicated Altitude):高度計に、高度計規正値をセットした時、指示される高度。

気圧高度(Pressure Altitude):高度計の規正値を標準値(29.92 inches Hg)に合わせたときに表示される高度。

密度高度(Density Altitude):気圧高度を非標準温度で補正した高度。航空機の性能に影響する。

高度計規正値(Altimeter Settings):飛行場の平均海面上の気圧に相当する数値で、これを高度計にセットすることにより、高度計は、真高度に近い値を指示することが出来る。

高度に対する気圧の変化:1,000ftにつき、約1 inch 低下する。

 

ことわざ

High to Low, Look out BELOW!

高いところから低い所に行くときは、下方に気をつけろ!

 

気圧高度計の仕組み

気圧高度計の内部には、金属製の風船(空盒:アネロイド・ウエハース)が入っていて、風船の中は空気が密封されています。風船の周りは、外気(静圧)が導入されています。

上空に行くに従い、気圧が低下するため、風船は膨らんでいきます。

この風船の、高度上昇に伴うふくらみを、指針に伝えることによって、高度を表示するようになっています。

altimeter

altimeter

ただし、気圧が上下するのは、高度が変化するときばかりではありません。

高気圧の圏内から、低気圧の圏内に飛行するとき、高度計の指示を、たとえば1,000ft一定で飛行すると、実際の高度(真高度)は、どんどん低下していきます。

その理由は、

低気圧に向かって飛行すると、飛行機周辺の気圧が、徐々に低くなります。

気圧高度計は、気圧が下がる→高度を高く表示する。

パイロットは、高度を一定にしようとして、結果的に高度を下げてしまうのです。

 

それが、(気圧が)高い所から低い所に行くときは、下方に注意しろという、先ほどの諺の理由です。

 

また、(温度が)高い所から低い所に行くときも、下方に注意しろという諺が、当てはまります。

 

気圧高度計は、あくまでも気圧のみを感知して作動しているので、温度の変化がそのまま高度計の指示に影響されることはありません。

それではなぜ、温度が高い所から低いところに飛ぶと、高度計が高く指示しようとするのでしょう?

 

考えてみてください。

 

 

問題の解説

高度計規正値は、「現在の場所における平均海面上の気圧」と言うことが出来ます。

もしも、標準大気状態が実際に存在して、平均海面に自分がいるとすると、その時の高度計規正値は、29.92 inches-Hg または 1013.25HPa ということになります。

 

このとき、地面を掘り下げていくと、気圧はどうなると思いますか?

 

高度が高い→気圧が低い ですから、地面を掘り下げると、

高度が低い→気圧が高い となります。

 

ちなみに、平均海面から 1,000ft 掘り下げると、その場所の気圧は、30.92 inches-Hg となります。

 

 

気圧は、高度が1,000ft 上昇するごとに、約 1 inch 低下します。

これは、暗記しておく必要があります。

 

 

ところで、平均海面にいる状態で、高度計規正値を 30.92 inches-Hg にしたら、どうなるでしょう。

 

高度計の指示は、約 1,000ft を指示するはずです。

 

問題では、下の計算の通り、高度計規正値を 0.7 inch 大きくしたので、指示高度は 700 ft 高くなります。

 

29.85-29.15=0.70

0.70x1,000=700 ft

 

残念ながら、気圧高度計で、密度高度は表示することができません。

 

 

 

結論

高度計には、正しい高度計規正値を入れましょう。 飛行中は、最寄りの飛行場のATIS などから新しいデータを更新しましょう。

管制塔などがない飛行場から出発するとき、高度計規正値が得られない場合は、その飛行場の標高を高度計にセットします。(QFE法)

そのとき、高度計のコールスマン・ウインドウに表示される数値は、アルティメーター・セッティングと等しくなります。

 

おわり

 

パイロット訓練 ナビゲーショナル プロッター TAC SEC

201607

ナビゲーショナルプロッター TAC SEC

商品説明: 米国GLEIM社製、NAVIGATIONAL PLOTTERです。

navigational_plotter

navigational_plotter

航空図から真航路(TC)および距離(NM/SM)を測定するものです。
2種類の航空図に対応したスケールがプリントされています。

1/250,000 TERMINAL AREA CHART
1/500,000 SECTIONAL CHART

距離のスケールはノーティカル・マイル (海里)とスタチュート・マイル(国際マイル)の両方がプリントされています。

材質は丈夫なLexan(ポリカーボネート)樹脂製。

サイズ:長さ340mm 高さ105mm 60g

付属品:英文解説シート(日本語訳付き)

ターミナル・エリア・チャート目盛り

ターミナル・エリア・チャート目盛り

 

セクショナル・チャート目盛り

セクショナル・チャート目盛り

 

プロトラクター拡大

プロトラクター拡大

 

・頑丈なレキサン(ポリカーボネート)製 ・海里と国際マイルのスケールがSEC・TACそれぞれに印字されています。 ・取扱説明書付き

・頑丈なレキサン(ポリカーボネート)製 ・海里と国際マイルのスケールがSEC・TACそれぞれに印字されています。 ・取扱説明書付き。

 

取扱説明書

取扱説明書抜粋

 

ハドソン川の奇跡 航空無線英文日本語訳テキスト+CD

201606

2009年1月15日、USエアウエイズ(AWE1549)バードストライク事故全交信記録完全日本語化!

201606

A4クリアファイル仕様

商品内容

1.アドバンスドATCコミニュケーションズ テキスト(クリアカバーA4サイズ本文83ページ、添付資料6ページ)
2.付録CD(CDR-CDDAフォーマット。約50分)プレーヤーによっては再生できないものもあります。

詳細説明

航空無線(ATC)座学教育用に制作した教材。約50分間の途切れのない交信の記録です。
89ページの冊子に英文のトランスクリプト、日本語対訳および参考図を掲載しています。

201606-1

英文・和訳併記

アメリカ連邦航空局が一般公開した、2009年1月のUSエア1549便不時着水事故前後の交信記録音声ファイルをベースに作成しています。

ATISは事故前と事故後(スペシャルレポート)合計2本を収録。

事故機が離陸したラガーディア空港のクリアランスデリバリー、グランドコントロールおよびローカルコントロールタワーの交信記録は、ランプでの出発準備から離陸上昇までのAWE1549機の様子が克明に記録されています。

ローカルコントロールからデパーチャーにATCが引き継がれた直後に鳥との衝突事故が発生します。
緊急時におけるパイロットの判断力とコントローラーの連携プレーをぜひあなたの耳でお確かめください。

201606-2

参考資料付属

事故機を見守っていたのはデパーチャーコントロールだけではありません。
不時着候補に挙がったテーターボロ空港ローカルコントロールが他の航空機の離陸を瞬時の判断で止めさせたり、不時着地点上空に偶然居合わせたヘリコプターが、ハドソン川への不時着水をコントローラーに実況中継したりと実際の現場にいるような臨場感を味わうことができます。

CDの内容

トラック1: ATIS(2分6秒)
トラック2: クリアランスデリバリー(2分52秒)
トラック3: グランドコントロール(7分20秒)
トラック4: ラガーディアLC(8分29秒)
トラック5: ラガーディアデパーチャー(10分2秒)
トラック6: クラスBサウスポジション(10分7秒)
トラック7: テーターボロLC(10分0秒)
興味本位の野次馬的な立場ではなく、あくまでもパイロットとして緊急時にどのような対応をすればよいかを学習し、同時にアメリカのATC環境に接するための教材となっています。

航空無線の交話法は、ICAO(国際民間航空機関)によって、世界標準となるものが決められています。
アメリカももちろん加盟国なのですが、実情は独自路線というか、かなり標準から逸脱していて、他国のパイロットから恐れられています。

通常の手順から少しでも外れると、アメリカンイングリッシュのオンパレード状態となり、外国人パイロットが理解するのは厳しくなります。

もしもあなたが、アメリカに行って飛行機の操縦をするとしたら、嫌でもこの強烈な環境に晒されるわけです。
一言聞き違えたら大惨事になる可能性をはらんでいます。

この教材の交信記録は約50分間ですが、会話の途切れがなくとても密度の高い50分です。
また日本語訳が英文と併記してありますので、内容がかなり理解しやすくなっています。

 

超難解なアメリカの航空無線!ATCレッスン教材CD付き

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アメリカの航空無線交信記録レッスン教材CD付!

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JAL国際線パイロットも眉をひそめる本場アメリカのATCに触れてみませんか?

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1.ATCプロシデュア3テキスト(クリアカバーA4サイズ本文16ページ、添付資料3ページ)
2.付録CD(CDR-CDDAフォーマット。約8分)プレーヤーによっては再生できないものもあります。
詳細説明

航空無線(ATC)座学教育用に制作した教材。約8分間の途切れのない交信の記録です。
19ページの小冊子に英文、日本語訳および参考図を掲載しています。

201605-1

日本語と英語が併記されているのでわかりやすい

アメリカ連邦航空局が一般公開した、1996年7月のTWA800便空中爆発事故時のボストンTRACON(航空路交通管制センター)交信記録音声ファイルをベースに作成しています。

興味本位の野次馬的な立場ではなく、あくまでもパイロットとして緊急時にどのような対応をすればよいかを
学習し、同時にアメリカのATC環境に接するための教材となっています。

航空無線の交話法は、ICAO(国際民間航空機関)によって、世界標準となるものが決められています。
アメリカももちろん加盟国なのですが、実情は独自路線というか、かなり標準から逸脱していて、他国のパイロットから恐れられています。

201605-2

IFRチャート付き

通常の手順から少しでも外れると、アメリカンイングリッシュのオンパレード状態となり、外国人パイロットが理解するのは厳しくなります。また、アメリカの管制官は、コミュニケーション上、他国のパイロットを完全にお客様扱いしていて、明らかに自国のパイロットと区別しているのが、この交信記録からも分かります。

もしもあなたが、アメリカに行って飛行機の操縦をするとしたら、嫌でもこの強烈な環境に晒されるわけです。
一言聞き違えたら大惨事になる可能性をはらんでいます。

この教材の交信記録は約8分間ですが、会話の途切れがなくとても密度の高い8分です。
また日本語訳が英文と併記してありますので、内容がかなり理解しやすくなっています。